\



7.ただそれだけで


君がいなくなってしまっても、なぜだか実感がありません。
ただ一つ解っているのは、君にもう会えないということ。
会えたとしても、それは思い出や夢の中だということ。

お通夜の最中、皆が皆それぞれ君のことを思い、泣いていたり、こらえた顔をしていました。
誰もが悲しみにくれながらも、何かを飲み込んだ表情でした。
若い人の葬儀とはいつもそうなのかもしれません。
帰り道、ふと、自分がどれだけちっぽけで、くだらないかという事を思い知らされた気がして、ただ不甲斐ない自分に腹が立ちました。
今は、笑ったり、泣いたり、怒ったり、悩んだり、友人と酒を飲み交わす事や冗談を言い合う事、それがどれだけ幸せなことなのか、ただそれを噛み締めるばかりです。
次の日に君が無事送り出されたことを聞いて思わず空を見上げました。
空は青く青く、細い飛行機雲が出ていたので、思わず涙を流しました。
願わくば、いま僕の周りの人々が一日でも長く、楽しく、日々過せることを。
願わくば、君が一日でも長く、楽しい日々を過したという喜びと笑顔を。

ただ、それだけでよいのです。


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送